3000文字チャレンジ

実は・・・。【3000文字チャレンジお題「私を熱くさせたもの」】

父親が亡くなった。

 

 

病院に到着した時は既に間に合わなかった。

 

 

病室には母親、親戚一同が父親の周りを囲んでいた。

 

 

「あぁ、亡くなったんだ」

そう実感したのは、父の顔を見た時だった。

 

 

 

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小学校時代

 

ある日。

ふと目が覚めた。

 

 

小学4年生。

もう一人で寝られる年頃だ。

 

 

「のどが渇いたなぁ・・・。」

ボクの部屋は2階だったので、水を飲むには1階に降りなきゃいけない。

 

でも、正直めんどくさい。

このまま朝まで我慢しようか。

 

 

「あ~ダメだ、しょうがない。」

ボクは1階に降りて水を飲むことにした。

 

 

階段から1階を覗く。

どうやらまだお父さんとお母さんは起きているようだ。

 

 

でも、なんだか騒がしい。

 

「またいつものケンカでしょ」

 

そう思ったボクは、ケンカのとばっちりが来ないように急いで水を飲もうとした。

 

 

ガラガラガラガラ

扉を開けた。

 

 

 

お母さんがお父さんを殺そうとしていた。

包丁を持ってお父さんを刺そうとした。

 

 

 

 

その描写は今でも鮮明に覚えてる。

原因は今でもわからない。

 

 

のどが渇いていた事も忘れ、ボクは扉を閉めた。

音を立てずに2階へ上がった。

 

 

なんでお母さんがお父さんを?

いつものケンカじゃない。

なんでだろう。

 

 

次の日、目が覚めたボクは普段と何も変わらず接してくる両親に違和感を覚えた。

 

 

 

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中学生時代

 

 

中学生になると、両親の言動や行動全てに腹が立った。

今思えば反抗期かもしれないが、そもそも両親の考え方に賛同できない。

 

 

両親が何か言うと

「うるさい」

「話しかけるな」

「殺すぞ」

の三拍子の感情。

 

憎いという気持ちしか持てない。

 

そんな俺でも、両親の誕生日には少し考える。

何かプレゼントしようか。

もうすぐ父さんの誕生日か。

 

去年は何かやったっけ?

覚えてない。

そもそもプレゼントなんてあげたっけ?

 

 

まぁいいや。

 

 

今年は何をプレゼントしようか。

めんどくさいけど。

 

 

そういえば父さん、本好きって聞いたことあるな。

自己啓発の本でもプレゼントしてやろうか。

これ読んだら、怒りやすい性格も治るんじゃないだろうか。

 

 

 

そう思って、本をプレゼントすることにした。

 

 

父さんの誕生日当日。

 

「これ、誕生日プレゼント」

 

普段父さんとは全く喋らないが、俺から話をかけた。

 

どんな反応をするんだろうな。

「お、ありがとう」とか言うのかな。

 

 

 

「いらない」

 

 

 

は?

 

 

「いや、いらないって」

 

 

父さんは確かにそう言った。

 

 

「いや、誕生日プレゼントだから別に面白くなかったら読まなくても良いから」

 

そう言ったが、

 

「いらないって言ってんじゃん」

 

と父さんは言った。

 

 

「じゃあいいです」

 

俺は誕生日プレゼントの本を、父さんの目の前でゴミ箱に捨てた。

 

 

 

 

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高校生時代

 

 

早く家を出たかった。

中卒で働こうかと思ったが、良いところがなかった。

 

 

高卒で働いてもいいが、専門学校から大学は出ておいた方が良いと当時は思った。

こんな家に住みたくない。

 

 

両親の顔を見たくない。

 

 

親父を殺したい。

どうしても殺したい。

 

 

でも殺したら俺が捕まる。

刑務所には入りたくない。

 

殺さないでこの家から離れる方法。

大学で一人暮らししよう。

 

 

大学行く金ならあるってほざいてる親父だし。

こっちもとことんスネかじらせてもらおう。

 

 

ただ顔は見たくない。

ってか2度と見たくない。

 

もういっそのこと今心臓発作で死んでほしい。

 

 

 

そう思いながら、大学へ進学した。

 

 

 

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大学生時代

 

大学で一人暮らしを始めた。

 

念願の一人暮らし。

 

誰にも嫌味を言われず

罵倒されず

悠々自適な生活。

 

 

「なんて自由な生活なんだ、この生活が一緒続けばいいのに」

 

一人暮らしをはじめて最初のころは

慣れない洗濯、掃除

そんなにやったことない料理

仕送りからの日々の家計のやりくり

に色々と悩まされた。

 

ただ、それよりも実家の呪縛から逃れられたことが一番の幸せだった。

 

 

 

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社会人

 

 

大学在学中に結婚した。

就職が決まり上京することになった。

 

 

新しい土地での生活

今まで社会人として働いたことがない

しかも妻を養わなきゃいけないプレッシャー

 

色々な不安に押しつぶされそうになった事もあった。

 

ただ、そんなことで負けてられない。

あの家には帰りたくない。

 

絶対に帰りたくない。

 

そう思いながら必死で働いた。

 

 

 

 

仕事にも慣れてきた頃、父親が入院したと連絡があった。

 

 

「あっそう」

そう思った。

 

 

心配する気持ちなど微塵も思わなかった。

むしろこれで死んでくれた方が、遺産が入る。

早く死んでくれ。

 

そう思った。

 

ただ、社会人になって世間体という言葉も覚えた為

お見舞いには行った。

 

 

お見舞いに行ったら、親父は人工呼吸器をつけていた。

 

全く喋れないが、聞こえはするらしい。

 

ただ俺は何も喋ることはない。

 

だって父親が大嫌いだから。

今だって、その人工呼吸器を抜いて包丁で胸を刺してやろうかって感情しか思わない。

それくらい大嫌い。

 

 

母が言った。

「何か話しかけることないの?」

 

 

ねえよ。

俺の素直な気持ちで早く死ねって言った方がいいの?

いや、お願いで「早く死んでください」って言ったほうがいいのかな。

 

どっちにしろなんもねえって。

 

 

「ほら!なんか話しかけて!!」

また母が言った。

 

 

うるせえな。

そう思いながらも話しかけた。

 

 

「お~い」

 

ここは山かよ。

自分で自分にツッコんじゃったよ。

 

 

声をかけたが反応はない。

 

どうやら本当に喋れないようだ。

って言っても喋ることないんだけど。

 

別に言うことは何もない。

言ってしまえば早く死んで欲しい。

それくらい大嫌いだった。

 

「お~い」

「大丈夫か~」

「お~い」

 

それくらいしか話しかけなかった。

 

 

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親父が入院して数か月

 

 

「お父さんやばいかもしれないから、仕事休んで帰ってこれない?」

母からの連絡。

 

 

いや、まだ入社して3年だからそんな急に休めないけど。

そう思いながらも、休めないって言うとめんどくさくなりそうだから

 

「わかった、少し有休取るわ」

母にそう言った。

 

実家に帰る日

「お医者さんがもうダメかもしれないって言ってる」

そう母から連絡が来た。

 

 

いちいち報告するなよ。

今新幹線に乗ってるんだから待ってろよ。

別に死んでもどうでもいいんだけど。

 

 

 

病院に到着した時は既に間に合わなかった。

 

 

病室には母親、親戚一同が父親の周りを囲んでいた。

 

 

「あぁ、亡くなったんだ」

そう実感したのは、父の顔を見た時だった。

 

 

父の顔を見る。

口をあんぐり開けている。

 

顔を触ってみる。

ほんのり暖かい気がする。

いや、冷たいか。

 

「ねぇ、あんたお父さんになんか言う・・・」

母が喋ってる途中、俺は自然と目に涙を浮かべた。

 

 

 

周りが気を使って病室から出て行く。

 

 

全員が病室から出た瞬間、俺はボロクソに泣いた。

 

人生の中で一番泣いた。

 

自分の中にこんなに水分があるんだ、ってくらい泣いた。

 

泣きすぎて何も見えなくなった。

 

親父の顔すら見えない。

自分の手元すら見えない。

呼吸も出来ないくらい泣いた。

 

 

そのまま10分くらいひたすら泣いた。

 

 

早くいなくなれって思ってたのに。

おまえなんか大嫌いだって思ってたのに。

こんなにも親父を殺したいって思ってたのに。

 

 

なんでこんなに涙が出るのか、わけが分からなかった。

 

 

 

 

 

散々泣いて落ち着いた頃、病室に親戚が入ってきた。

同士に医者も入ってきて、別室で死因を説明してくれた。

 

 

 

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あれから3年。

 

今では転職をして、地元で働いている。

 

俺も今では妻子を持つ父になった。

 

 

 

俺は今でも親父のことが好きになれない。

 

頑固で

人の話を聞かず

すぐに怒る

 

そんな親父が好きではない。

 

 

ただ、一児の父になった今。

 

 

「もしかしたら親父はこんな感情だったのだろうか」

「あれは単なる不器用さの表れだったんじゃないか」

「まぁ親父も人間だしな」

 

 

そう思えるようになってきた。

俺も大人になったものだ。

 

 

親父に孫の顔を見せてやることは出来なかったが

毎年墓参りには行っている。

 

 

もし今、親父が生きてたらこう言いたい。

 

「どっか飲み屋にでも行こうか」

 

そこで男だけの、親子だけの話が出来たらなって思う。

あとがき

さてさてさてさて、

今回も参加させて頂いた3000文字チャレンジ

お題は3000文字私を熱くさせたもの】です。

 

私を熱くさせたものって、正直思いつかなかったんですよね。

何かにハマったとかならあるんですけど、熱くなったってどういうこと??って。

 

熱くなったってことは・・・・

泣いたってことか!

 

って考えてしまいまして。

人生で一番泣いたことを書きました。

 

つまりこの話

全部ノンフィクションの実話です。

 

結構過激な言葉使ってますが事実なので。。。

賛否両論あると思いますが、包み隠さずに世の中にはこんな人間もいるんだよってことを書いてみました。

 

 

だからタイトルが「実は・・・」なんですね!

記事タイトルと内容が全然かみ合ってないですね!笑

 

 

そんな感じで

お後がよろしいようで。

(近々3000文字のまとめ記事を作成しないと、何を書いたかわかんなくなっちゃう。)

 

【2019/3/26追記】

3000文字メイキング作りました!